都市デザイン <用語の解説>
第1回 都市デザインとは
(1)都市デザインの領域と役割
出典: 「建築大辞典 第2版」、彰国社、1993
「広辞苑 第四版」、新村出編、岩波書店、1993
アーバンデザイン   urban design
土地利用や交通計画などの機能的側面から都市を計画する都市計画(シティプラニングcity planning)に対し、建築群、街路、広場、緑地などの都市空間構成要素の形態に主眼をおいて都市を計画、設計すること。近代以前の都市づくりは機能的側面も空間的側面も一体にとらえられていたが、近代になって機能偏重の都市計画が主流になるなか、これに対する反省も含めて、改めて都市空間を総合的にとらえようとする。
ヨーロッパでは第二次世界大戦後の住宅団地やニュータウンの設計でタウンスケープとして主張され、アメリカでは1950年代後半にスーパーブロックの再開発を契機に新たな職能の必要性が言われ、アーバンデザインの概念が定着した。
この実務的対象を挙げれば、(1)都市の骨格の決定、(2)中心業務地区、商店街、住宅地区等の地域再開発計画・設計、(3)歴史的景観地区、良好な環境地区等における保護保存、修復の計画・設計、(4)ニュータウンや住宅団地、工業団地、キャンパスやレクリエーション地区等の新開発計画・設計、(5)スーパーブロックや超高層建築、コミュニティセンター等建築群の構成・計画・設計、(6)ストリートファニチュア、広場など都市ディテールの設計、などが主たるものである。
今日の課題として、それらをより確実に実現するための詳細規則のあり方や実効的な仕組みの整備が必要と認められつつある。「都市設計」「都市デザイン」ともいう。
都市空間 urban space, urban place
1)都市を構成している実際上のさまざまな空間。特に田園や集落では見られない都市特有の、あるいは都市的な感じを与える空間。その構成や要素については、都市景観の視覚分析や都市要素の分析の研究がある。また偶然的な人や事件との出会い、賑わいなどのような都市現象も空間の要素の一つとして進められている研究対象である。
2)概念化された都市の構成空間。現実・実体的な空間から有意な性質や形態を抽象して得た概念上の空間。計画過程、設計過程で用いられる。空間相互の関係や仕組みの在り方は都市構造として理解され、新たな骨組みのもとに計画的に再構成するときの材料となる。そして概念化することによって明瞭となる空間自体の性質や機能についての改善や新しい内容の付与が計画の目標となる。
都市計画 town planning, city planning
1)都市の経済、社会、文化などの諸機能を十分に発揮させ、都市における生活および諸活動の安全、健康、利便、能率、快適を図る目的をもって、都市基盤、土地利用、建築敷地、建築物などを整えようとすること、何を基本的要素として理解するかによって、作られる計画の現実性、思想性、奥行などが異なってくる。
2)都市計画法において規定される都市計画(法定都市計画)。同法では都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備および市街地開発事業に関する計画を定めることにしている。
都市形態 urban form
都市の二次元および三次元的な形態。自然形態に従属的であり、過去には社会機構により定まったこともあるが、今日では一般に交通網の形態に従属的であることが知られている。線状型、格子状型、放射状型、環状型などいくつかに分類整理して捉えることが可能である。
都市形態学 urban morphology
都市の形態を都市の機構や構造に沿って解剖論的、比較論的に分析し、一見無秩序に見える個々の人間の活動や建設の集積のなかに普遍的に働く力や共通の因果関係を考究して、都市の形態の成立を説明し理解しようとする研究分野。
タウンスケープ townscape
1)都市が立地する自然的基盤(地形、水系)と街路や建築物、広場など人工構造物が構成する景観。西欧に残る中世都市のように完全に構造物が卓越する景観と、我が国の多くの都市のように樹木や水等自然的要素と人工物との調和がつくり出す景観とがある。「都市景観」「アーバンスケープ」ともいう。
2)イギリスを中心としたタウンスケープ派に主張された概念。土地利用や機能偏重の都市計画に対し、自然発生的に形成されてきた市街地(タウン)が織りなす固有性に着目し、その見え方などから設計手法を提案しようということが試みられた。
土地利用 land use
ある地区の土地をさまざまな用途および形態に使い分けること。都市計画ないし都市地理的な観点から用いる。
土地利用規制 land use regulation
土地所有に伴う土地の利用、収益、処分の自由を社会的必要により制約すること。制約の必要と程度については歴史的に強化され、かつ各国によって異なる。
日本の現状は、1989年土地基本法にみられるように、「公共の福祉」の内容など明確さを欠く理念の宣言にとどまる。また、都市計画の区域区分制(線引き)、地域地区制などの具体的な規制の枠組みは設けられているものの、土地利用計画の実現手法という性格よりも最小限の不都合の排除という性格が強く、一般に大まかで緩い規制である。更に近年の規制緩和の挑戦を受けるに至っている。
開発行為 都市計画法において、主として建築物の建築の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更。
新開発 new development
現在都市的利用のされていない土地の上に新たに都市活動を立地させるべく行われる行為の総称。
再開発 renwal, redevelopment
既存活動の集積地域・地区において、施設の序興、修復、建替えなどによって、活動の入れ替え、活動の効率化、環境改善などを行おうとする行為の総称。新開発と対置される。
修復 restoration
歴史的に価値のある建造物、彫刻などの補修、化粧直し。
コンセプト concept
具体的な形態の背後にあってそれを支え、形態決定の手がかりとなるもの。設計の前提条件と、形態的解決とを媒介するものと考えられる。現代美術の分野におけるコンセプチュアルアートに代表される建築分野の語として、P.アイゼンマンらは知覚可能な表層を支える、精神的な深層構造の意味に用いている。
イメージ image, imagery
心象。「いま、ここにない」対象が、心的に体験されたそのもの。イメージは、形態や色彩のような知覚される性質を現実の対象と同じように持つ点で、シンボルと区別される。デザインにおいては、創造しようとする対象に関するイメージが操作的に扱われていると考えられる。アーバンデザインや都市空間についてイメージ論を導入した代表がK.リンチの『都市のイメージ(Image of the City)』(1960)である。
主体 1) subject 作用を及ぼすほうのもの(作用を及ぼされるほうのものを客体というのに対して)
2)事業などを実施する人や組織のこと。もしくはその関係者を含めた各存在。特に都市工学(土木、建築、都市計画など)の分野で用いられる。「事業主体」など。
3) main frame 建築物のうちの主要な部分。仕上げ材、建具、設備関係施設などを除いた主要構造部分をいうことが多いが、その範囲は明確なものではない。
ディテール detail
1)建築物などの細部。詳細。
2)詳細図または詳細図の表す内容。矩計図(かなばかりず)とも言う。
外部空間 exterior space, outdoor space
建物の外側の空間。建物の間にできる空間が単なる余りでなく、それ自体を対象として構成すべきであることが認識されることから使われるようになった術語。近代建築の成熟は単体の建物を超えた問題への注目をもたらし、外部空間に重要な意味を見いだして、積極的に設計していこうとする主張も多く見られるようになった。都市と建築との関係の具体的あり方に意識的になり、トータルに、より豊かな環境を創り出そうとする際の、主たる注目点である。←内部空間
ストリート street furniture
ファニチュア 広義には屋外の環境施設全般。狭義には街路空間に置かれる屋外家具類の総称。街のイメージづくりの重要な要素ストリートライフが盛んになるにつれて、安全地帯や植樹帯の施設、急速やイベント等のための施設、修景や演出のための施設、商業や情報のための施設等が発達し、また交通施設や照明、都市管理施設等でのデザイン化が進んでいる。