旧乗田家住宅(鹿島市指定文化財)

 旧乗田家住宅は、もともと鹿島鍋島藩に仕えた旧武士である最所家の住まいであり、その後に乗田家の所有になりました。

 建築年代は19世紀初期と推定され、建物の改変も少なく、建築当時を理解しやすい保存状態です。佐賀県に特徴的な「くど造り」の屋根形状であり、ザシキや式台のように質実で地方武士らしい表空間が見られる一方、旧多良海道裏手の閑静で広い敷地に立地し、畑地や比較的広い土間を持ち、養蚕を行っていたことも推定されます。これは、兵農分離が未発達であった鹿島鍋島藩の状況を良く伝えており、近世節の生活を良く理解できます。また、鹿島市における在郷町(昔の地方都市)、かつ宿場町に残る数少ない武家屋敷の遺構でもあります。

指定日:平成17年10月7日

所在地:佐賀県鹿島市古枝字寺角甲115番地
(肥前浜宿)

 

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修理直前の状況です。崩壊寸前でした。必ず復原できると所有者を説得し、工事に着工しました。

茅葺き屋根職人さんが茅葺き屋根の工法から来る構造上の問題を指摘してくれました。

 

体験学校で浜小学校の児童たちらが土壁塗り、かまどづくり、土間たたきに参加しました。

             

工事の経緯について

旧乗田家住宅は、平成16年にこの町を訪れた東京在住の方の寄付「5500万円」と建物所有者である乗田隆太郎氏の建物寄付を受けて、保存修理工事を実施し、平成19年2月に竣工して肥前浜宿のまちづくりのシンボルとして活用できるようになりました。

乗田家が空き家になってから修理工事完了まで、町の住民である峰松昭次郎氏は、この建物を台風などから守り続け、寄付者との連絡や工事の体制づくりに尽力されました。 その峰松氏の意向も受けて、佐賀大学(研究担当者:三島伸雄准教授)が寄付金の受け皿として協力しました。

1.寄付の概要

  1. 寄付者   東京都在住の方
  2. 寄付金額  総額55,000千円(内、鹿島市8,000千円、佐賀大学47,000千円)
  3. 寄付の条件
    1. 管理・運用において、地元住民の熱意があること。
    2. 土地は、しかるべき団体が寄付金を用いて所有者から購入すること。
    3. 工事においては、地元職人が主体となって取組むこと。
    4. 建物の管理母体となる地元団体がNPO化されること。
    5. 文化財としての価値を損ねないように工事を行い、地元の将来的負担にならないように市・県などの重要文化財としての保存を図ること。
    6. 利活用においては、文化財としての価値を損ねないように考慮すること。
  4. 寄付金の取り扱い

鹿島市:市で受入れた後、早急にNPO団体に移管する予定(団体設立までは鹿島市観光協会で管理)
佐賀大学:都市工学における教育研究(研究担当者:理工学部・助教授・三島伸雄)

2.寄付の経緯

概  要

2004.
















2005.
2006.
2007.

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寄付者、肥前浜宿を訪問。峰松昭次郎氏案内。
峰松昭次郎氏に寄付金申し入れの連絡。
寄付者より、電話にて鹿島市生涯学習課に茅葺き民家保存のための寄付金申し入れ。
佐賀大学での受け入れを検討 →寄付者の同意を得る。
寄付金受け入れの研究概要書を作成。
地元組織による建物管理の可能性について検討開始。
土地・建物所有者(乗田隆太郎氏)の土地・建物売却譲渡の内諾を得る。
大村方区による建物管理については、区役員会からの難色が示される。
  →他組織による管理運営について検討(観光協会、水とまちなみの会など)
寄付者、文化庁と協議
文化財としての保存に関する検討
九州産業大学佐藤教授による調査  →12月13日頃寄付者へ通知
三島助教授より見積もりを文建協に打診
文化財としての見積もり作成(三島助教授より江島建築設計事務所に依頼)
水とまちなみの会運営委員会にて、NPO設立について承認。
寄付金受け入れに対する鹿島市長の承認。寄付者より寄付の内諾通知。
鹿島市、佐賀大学への入金。
水とまちなみの会にて寄付金受け入れの報告。NPO化への段取りの検討。
起工式
完工式

3.保存修理工事の体制

  1. 旧乗田家住宅保存修理委員会(委員長:迎昭典先生)

     建物維持管理団体:肥前浜宿水とまちなみの会より数名(会長、副会長、他)
     地元関連団体:鹿島市観光協会、浜町振興会、大村方区、より1名ずつ
     学識経験者:九州産業大学佐藤正彦教授、佐賀大学三島伸雄助教授
     技術アドバイザー:財団法人文化財建造物保存技術協会九州支部高品正行氏
     行政:鹿島市生涯学習課、まちなみ活性課、佐賀県文化課

  1. 設計事務所

     肥前浜宿まちづくりデザイン研究会所属事務所
     (橋本直、馬場泰造、浦川宏太、堤好幸、川崎昭子、江島明義)

  1. 工事施工者

     並木工務店

 

             
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